一昨日に続き、ハワード・マークス著”市場サイクルを極める”の書評をお届けする。
今回は、成功のサイクルについて紹介する。
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例によって、書籍からの引用箇所は・「」で囲み、→は個人的な気付きを記した。
<第十六章:成功のサイクル>
この章で引用したいセンテンスは3つ。
・「投資においては、謙虚さと自信は複雑な関係にある。一番お買い得な掘り出し物は、たいていの場合、発見されていない、見下されているものの中から見つかる。したがって、投資家として成功を収めるには、イエール大学年金基金ですばらしい投資成績をもたらしたデイビット・スウェンセンが言うところの「多くの場合、常識に照らし合わせてみれば無分別としか言いようのない居心地の悪さを受け入れられるほどの自信を持たなければならない。」
→投資家としての株式分析・予測が正しかったとしても、例えば市場トレンドがそれと逆に動いた時に感じる居心地の悪さを受け入れられないと、掘り出し物は見つけられないと説く。その様な心理面での鍛練も成果を得たければ求められると。
また上記のデイビット・スウェンセン氏の説得力ある言葉は、2000年に出版された「勝者のポートフォリオ運用」に出てくるそうなので、一度中古本で入手し、注意深く読みたい。
・「成功を収めて、自分は賢いと思ってしまうことはよくある話だ。そして、相場が力強く上昇するなかで大金を稼ぐと、投資を極めたと思い込み、自分の見解と本能に対する自信を深めてしまう。自分が間違っている可能性を考えなくなり、損失を出すリスクをあまり気にしなくなる。すると前の成功をもたらした安全域を十分に確保しようとしなくなる可能性がある。」
→ここでの指摘にあるように、人はついうまくいった場合の認識を自分の能力によるものだと思いがちだが、投資でも強気相場による株価上昇を自分の能力と勘違いすると、相場が反転したときに何が起こっているのかを正しく把握できないので、常に相場と自分の能力を出来る限り冷静に見たいものだ。
・「投資戦略について考えてみよう。永遠に機能する戦略などないと理解しておくことは非常に重要である。どんなアプローチもルールもプロセスも、それを用いればつねにアウトパフォーマンスを達成できるということはありえない。第一に、ほとんどの証券やアプローチは、特定の状況やサイクルの位置においてアウトパフォーマンスをもたらすのであって、ほかの場合では役に立たない。第二に、過去の成功はそれ自体が将来の成功を起こりにくくする役割を果たす。」
→次の言葉を胸に刻み、試行錯誤しながらも株式投資とつきあっていこうと改めて思う。「どんなアプローチもルールもプロセスも、つねにアウトパフォーマンスはありえない」。結局の所、特定の状況やサイクルの位置において発揮するものであると肝に命じておかないとワンパターンの投資だといつか行き詰まるのだから。