一昨日に続き、ハワード・マークス著”市場サイクルを極める”の書評をお届けする。
今回は、信用サイクルとディストレスト・デットのサイクルについて紹介する。
・書評記事1回目
・書評記事2回目
・書評記事3回目
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・書評記事4回目
・書評記事5回目
例によって、書籍からの引用箇所は・「」で囲み、→は個人的な気付きを記した。
<第九章:信用サイクル>
この章で引用したいセンテンスは2つ。
・「信用サイクルは、本書で取り上げている大半のほかのサイクルに比べて、一般の人にはなじみの薄いものかもしれないが、私は絶大な影響力を持つ最も重要なサイクルだと考えている。(中略)つねに留意しておく必要があるのは、大きく開いていた窓があっという間に閉じてしまう場合があるということだ。信用サイクルを十分に理解するために押さえておくべきことは、特に重要なのはこの点である」
→ここで書かれている様になじみが薄くて読み飛ばしてしまいそうなのだが、大きく開いていた窓をお金の流れに見立てると注意深く見ておかないと、様々な産業・企業に影響が広がるので、信用サイクルがどういったものか理解を深めたい。
・「信用サイクルに対処するうえで重要なのは、すべてが順調な状態がしばらく続いており、良いニュースが絶えず、リスク回避志向が薄く、投資家が意欲的なときに、サイクルが頂点に達するのだと認識することである。」
→人々の警戒心・注意が緩むときほど、その反転・衝動への備えを始めなければいけない、逆張りのような投資行動ができるように心理面でなっていきたいものだ。
<第十章:ディストレスト・デットのサイクル>
この章で引用したいセンテンスは1つ。引用箇所が長いので、他の章の引用箇所2つ分ぐらいに相当する。
・「●景気サイクルは投資家心理、企業利益、デフォルトの発生率を左右。●心理のサイクルは信用市場の環境や投資家の貸す・買う・売るの意欲の変化に寄与。●リスクに対する姿勢のサイクルは、頂点で信用力の低い債権の発行が増え、谷底で借り換えようの資金が枯渇する。●信用サイクルは借り換えの可否や債権発行志望者に適用される信用基準の厳格さを左右。
こうした複数のサイクルの影響を受けるディストレスト・デット市場が、他の分野から孤立した存在とは言いがたい点は明らかだろう。(中略)それらすべての影響が劇的な形で現れるのがディストレスト・デットの投資機会のサイクルであるため、一章を費やし、その説明をした次第である。」
→この書籍では様々なサイクルが説明されていて注意すべき点が多いが、このディストレスト・デットの顕著な動きを掴む指標を見つけてウオッチすれば、変化を掴みやすくなりそうだ。