一昨日に続き、”市場サイクルを極める”の書評をお届けする。
著者はオークツリー<NYSE OAK>を経営するハワード・マークス氏。
・オークツリー・キャピタル・グループ
・前回の書評記事
早速書籍の内容に移るが、書籍からの引用箇所は・「」で囲み、→は個人的な気付きを記している。
<第二章:サイクルの性質>
この章で引用したいセンテンスは3つ。
・「大事なのは、こうしたパターンの確実性を認識し、受け入れることだ。変動のタイミングや期間、スピード、勢いそしてその理由といった細かい点はさまざまに異なっており、そういう意味でマーク・トウェインは歴史は繰り返さないと語ったと考えられる。だが、基本的な動態は大抵同様である。」
→過去のサイクルから学べることをまずは叩き込んで、これからの動きに注意を払うと何が見えるのか楽しみである。
・「サイクルを十分に理解するために必要不可欠なその性質について、何点か述べておきたいことがある。2001年11月20日顧客向けレター「予測は不可能、準備は可能」に記した考察。
1. サイクルは避けられない。2. 投資家が過去をすぐに忘れるせいで、サイクルの影響力は増大する。3. サイクルには自律調整力がある。4. 人間の知覚と言うレンズを通すと実際ほど対照的には見えなくなることが多い。」
→顧客向けレターのタイトル、予測は不可能、準備は可能が妙を得ている。
・目を見張るほどの値上がりを記録した証券や市場は、そのままずっと上昇し続けるよりも、周期的な調整に見舞われる可能性の方がはるかに大きい。「今回は違う」と意気込む投資家に、ためしにそう説いてみてほしい。
→下記記事の半導体スーパーサイクルを謳う話も、今回は違うという見方が当たらず、調整に見舞われた事例。
<第三章:サイクルの規則性>
この章で引用したいポイントは1つ。
・相場が今後も上昇したり、下落したりしつづけることのは間違いない。(中略)だが、いつ上向いたり、下向いたりするのか、動き始めたらどこまで行くのか、どんなペースで変動するのか(中略)、といったことはこれから先の絶対知りえない。
ただし、サイクルのタイミングについてほとんど知らない、と認識していることはサイクルへの理解がより乏しく、サイクルとそこから導き出される適切な行動について、さほど関心を寄せていない大多数の投資家に対する大きな優位性となる。
→将来予測は困難であることを受け入れ、その上でどう行動するかにフォーカスすることが、優位性になるのが目から鱗だ。