一昨日に続き、ハワード・マークス著”市場サイクルを極める”の書評をお届けする。
今回は、市場サイクル全般について紹介する。
・書評記事1回目
・書評記事2回目
・書評記事3回目
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・書評記事4回目
・書評記事5回目
・書評記事6回目
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・書評記事7回目
例によって、書籍からの引用箇所は・「」で囲み、→は個人的な気付きを記した。
<第十二章:すべての要素をひとまとめに 市場サイクル>
この章で引用したいセンテンスは3つ。
・「証券価格は概して利益よりもはるかに大きく変動する。価格変動はファンダメンタルズの変化を誇張している。
起きる理由を流れに沿って簡潔にまとめると次のようになる。
1. 景気や企業利益のファンダメンタルズが徐々に好転。
2. 良好なファンダメンタルズ受けて、アニマル・スピリットと投資家の利益許容度が共に高まる。
3. 心理の高揚から、投資家がリスク防御や期待リターン要求を弱める。
4. 1~3の要素が組み合わさって、資産価格の上昇をもたらす。
5. プロセスが逆回りしはじめる。
環境が思わしくなくなる、非現実的な高望みだったという理由から、ファンダメンタルズんが予想を下回る。
6. 冷静さを取り戻した投資家が、価格が不当に高い水準に達してしまったと判断する。
7. ファンダメンタルズがあまり良好でなくなる、良好でないと思われるようになると、価格が下落する。
→このように流れを把握し、ファンダメンタルズや投資家心理の変化を注意深く見れば、流れがどちらの方向に向かっているのか、分かるようになるのは投資家のスキルとして必要だろう。
・「投資において私が強い魅力を感じるのは、投資家がいかに合理性の仮定からかけ離れた行動をとるか、そうした行動がサイクルの変動にどのように影響を及ぼすのか、という点だ。この投資における意思決定に関与し、純粋に経済的な決定へといたるプロセスを妨げる要因は数多く存在する。人間の本性や心理、感情の範疇に入ると考えられるようなもので、投資家の行動、ひいては市場を支配する力を間違えなく備えている。
→人々の行動は、経済合理性からかけ離れた行動が度々起こることを頭に入れた上で、株価トレンドを見ていくと共に、心理や感情を表す指標で適当なものがないかも探っていきたい。
・「近い将来暴落が起きるかもしれない状況にあるのか、という質問がしばしば寄せられる。大幅な上昇のすべてがバブルではないという私の考えを説明したい。ハイテク株や住宅のバブルよりも、はるかに前の時代に発生したバブルをいくつも乗り越えてきた。ここで取り上げるのにふさわしいのが1960年代のニフティ・フィフティ(素晴らしい50銘柄)ブームである。高成長が見込まれるアメリカ企業の株式のうち、質の高い50銘柄を表していた。バブルに共通する要素とは、ブームの渦中にある資産に関しては「高すぎる価格などない」という思い込みである。賢明な投資の方法は1つしかない。投資対象の価値を算出し、それ以下の価格で買うのである。
→ここでのバブルに関する示唆は興味深く、価格に対して価値算出したものではなく、思い込みで価格を正当化すると危ないサインであり、そうなっていないか常に意識したい。