一昨日に続き、ハワード・マークス著”市場サイクルを極める”の書評をお届けする。
今回は、リスクに対する姿勢のサイクルについて紹介する。
・書評記事1回目
・書評記事2回目
・書評記事3回目
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・書評記事4回目
例によって、書籍からの引用箇所は・「」で囲み、→は個人的な気付きを記した。
<第八章:リスクに対する姿勢のサイクル>
この章で引用したいセンテンスは4つ。
・「リスク回避は投資において不可欠な要素である。ほとんどの人は以下の様に振る舞う。・投資に慎重な姿勢を示す。・投資を検討する際には入念な分析を行う。・分析は保守的な前提と相応の懐疑主義に基づいて行う。・リスクのある投資はより大きな安全域を求める。・健全なリスクプレミアムにこだわる。・理にかなわない案件への投資は拒む。」
→ほとんどの人はリスク回避の振る舞いをするが、常時行っているはずがないので、気が緩みがちな相場環境の時ほど慎重に行動したいものだ。
・「良い出来事が起き、陶酔感、楽観主義、強欲の傾向が強まると投資家はあるべき状態よりも、リスク回避的でなくなる。すると投資家は以下のような傾向を示す。・投資プロセスにおける慎重さの度合いを引き下げる。・入念な分析を行う必要性を感じなくなる。・前提をより緩やかなものに変え、懐疑主義よりも軽信の度合いを強めがち。・安全域を狭めて投資することを厭わなくなる。・十分なリスクプレミアムを要求しなくなる。・投資先へのこだわりが薄れる」
→一連の回避的でなくなる傾向を見ると、どこかの時点で該当するサイン、雰囲気を掴めれば危険水準に達する前にポートフォリオのバランスを調整することでダメージを押さえることができそうだ。
・「投資リスクの最大の源は、リスクはないという思い込みだと言える。寛容な姿勢が広がることはその後の相場下落を示唆する何よりも有力な前触れとなる。(中略)最大の投資リスクは、新しい投資根拠によって、資産価格が過度に高い水準に達したときに訪れる。その根拠はファンダメンタルズでは正当化できないもので、不当に高い価格水準をもたらす。」
→この言葉を噛み締めて、そういった思い込みに陥っていないか冷静沈着に行動できるようになりたいし、定量面ではバリエーションを見ていくことでリスクに気づくチャンスが増えるのだろう。
・「ほかの人と反対のことをする。言い換えると風に逆らって動く逆張りは投資を成功させる上で欠かせない要素である。」
→理屈に合わない行き過ぎたリスク回避志向に遭遇した時、逆張りとして、崩壊を乗り切るためのポートフォリオ防御や解約請求に応じる資金調達に抗うのは実質的に困難だろう。悲観が悲観を生む状況で、逆らった動きをし続けるには勇気と忍耐がいるので出来る自信はない。