先週に続き、ハワード・マークス著”市場サイクルを極める”の書評をお届けする。
今回最終回になり、サイクルの未来について最後に紹介する。
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例によって、書籍からの引用箇所は・「」で囲み、→は個人的な気付きを記した。
<第十七章:サイクルの未来>
この章で引用したいセンテンスは3つ。
・「今回は違うはビジネス界で最も危険な五文字だ。人々が違うと言うとき、それは往々にして過去のサイクルをもたらしてきたルールやプロセスが通用しなくなったという意味合いをもつ。だが、金融の世界における過去のサイクルの変動は、物理・科学的な法則から生じたわけではない。その理由は、人間がかかわっていることにある。人々の決断は経済、ビジネス、市場のサイクルに多大な影響を及ぼす。そして人が科学的に意思決定を行うことはない。」
→マーケットが上昇トレンドが続いている時、”今回は違う”というフレーズをアナリストや証券会社が肯定の意味で言うことがあるが、最も危険と心構えるべきだろう。
そして金融(経済、ビジネス、市場)の世界でもそういった人間の判断が、時に危険な状況を引き起こすことがあるということだろう。
・「我々が生きている世界にサイクルが存在する根本的な原因は、人がかかわっていることにある。機械に任せれば一直線に前進しうる。そして時間は絶え間なく進む。歴史や経済学といった分野では、その過程に人がかかわっており、結果は変化と浮き沈みに富んだものになる。人が落ち着きのある冷静な生き物ではなく、感情的で一貫性のない生き物だからなのだと思う。」
→株価の浮き沈みで、時に保有する株式が大きなダメージを受けることがあるが、そもそも市場サイクルがなぜ起きるのかと点で、人の感情がその実態以上に揺れ動いているからだと捉えれば、短期志向にならずに済むし、理性的に行動ができそうだ。
・「極端な行動をとる人間の性向がなくなることはないだろう。そうした極端な状態はいずれ必然的に修正されるため、サイクルがなくなることもないだろう。つまり、サイクルを理解する能力のある投資家が利益を得る機会を見出だすということである。」
→今回の連載シリーズを締めるに相応しいフレーズ。極端な状態が一時的に起こることあってもいずれは修正されるが、つまりそれはサイクルを理解する能力があれば自身の利益に繋げることもできるという勇気を得られる。そうなれるよう、今後もサイクルを意識し、そのポジションを見ながら株式投資していきたいと思う。