Motleyの記事"Better Buy: Pfizer Inc. vs. Johnson & Johnson"で、製薬企業のPfizer(ファイザー)とJohnson & Johnson(以下、J&J)の
投資先としての比較検討を、成長性・配当、価値の3つの観点でしており、概要を紹介する。
2017年ももうすぐ終わるが、どちらの製薬企業の株式が今年良かったかは明らかだろう。J&Jの株価は20%以上
上昇し、Pfizerの株価はその半分の上昇にとどまった。
投資は運転に似ていて、重要なのはサイドミラーに何が映っているか集中することより、その先に何があるか見ることだ。
今後数年で投資家にとってどちらが投資先としてより良いのか、3つのカテゴリで比較検討しよう。
1. 成長性
いくつかの要因が製薬企業の成長を引っ張っており、すでに市場導入された製品の見通しは大事である。
会社のパイプラインは、どれぐらい成長を得られるのかの決定的な役割を果たす。そして、買収やライセンス取引も
キーとなる要因である。PfizerとJ&Jを比較する最も簡単な方法は既存製品だろう。
Pfizerは良い面と悪い面があり、革新的健康セグメントは、年率11%で収入が成長し、これは画期的(ブロックバスター)な
薬のEliquis、Ibrance、Lyrica。健康保険セグメントは、全体の収入成長が、独占権を失ったことにより、落ち込んだ。
J&Jは、売れ行きトップの薬Remicadeが他社の類似薬との競争により売上が減少した。
消費者向けセグメントは、売上成長が低迷した。全体的にみて、売上成長はJ&Jの方が、Pfizerより今年は大きく、
大部分は買収によるものだった。
両社のパイプラインは手堅い、Pfizerは規制当局の承認待ちの薬が10つあり、承認ステージ終盤のプログラムが
28ある。J&Jは、承認ステージ終盤のプログラムがもっとあり、承認待ちの薬は8つある。今年初めに
EvaluatePharmaという調査会社が評価した製薬会社のパイプラインのランクによると、J&Jは業界で
トップ5に入る一方、Pfizerは上位5社に入っていない。成長という視点で見たとき、J&Jが勝っている。
2. 配当
配当でみるとまた違った見方ができる。J&Jは素晴らしい実績がある。ヘルスケアの巨人は、55年連続で配当を
引き上げてきた。Pfizerは、配当を引き上げる良い傾向があるが、2008年~2009年は巨大な製薬会社でも配当を
カットせざる得なかった。
Pfizerの配当利回りは3.6%に達し、J&Jの2.4%より高い。ここ数年はJ&Jの方がPfizerより若干早いペースで
配当を引き上げているが、キャッチアップできるようには見えず、株主にとって、Pfizerに投資する方が利点がある。
3. 価値
Pfizerの株価はPER13を少し超えるぐらいで取引されており、J&Jの18倍よりはかなり低い価値で取引されている。
企業価値をベースにした価値マトリックスを使う投資家にとって、Pfizerは割安である。
もし成長見通しという要素を入れるとどうなるだろう。
price-to-earnings-to-growth (PEG)は、通常高成長の銘柄に使われるが、この製薬業界の企業価値を比較する為に
用いた。PEG ratioは、Pfizerが2.34、J&Jが2.73となっているので、Pfizerがお買い得に見える。
・どちらが買いか
PfizerがJ&Jより3つのカテゴリの内、2つで利点があり、割安である。J&Jの配当を増やし続けた素晴らしい歴史も
あるが、Pfizerがより魅力的な配当を提示している。しかし、J&Jの成長見通しはどうだろうか。
筆者の見方だと、Pfizerがいくつかの買収を通じて成長する可能性があり、投資先としてより魅力的である。