定点観測している東証発表の投資部門別取引状況について、2020年11月23日の週のデータを確認する。同期間の日本の株価指標に加え、米国・中国の株価指標もウオッチ。
統計データは毎週第4営業日の午後3時に日本取引所HPで更新され、市場への影響が大きい投資家グループの動向を理解し、投資活動に役立てたい。
11月23日の週は、日経平均株価が11月24日始値の25,901円から11月27日終値の26,644円と743円上昇し、TOPIXも11月24日始値の1754ポイントから11月27日終値の1786ポイントと32ポイント上昇。
また海外(米国・中国)の株価指標に目を向けると、NASDAQは11月23日始値の11916ポイントから11月27日終値の12205ポイントと289ポイント上昇し、上海総合指数は11月23日始値の3384ポイントから11月27日終値の3408ポイントと24ポイント上昇。
現物株の投資部門別取引状況は、外国人投資家は4,366億円の4週連続の買い越し。一方、個人投資家は4,966億円の4週連続の売り越し。GPIF(年金積立金管理運用) など年金基金の動きを表すと言われる信託銀行は600億円の5週ぶりの買い越し。
また現物株と先物合計の売買状況は外国人投資家は3,490億円の4週連続の買い越し。一方、個人投資家は5,184億円の4週連続の売り越し、信託銀行は721億円の5週連続の買い越し。
11月23日の週は、先週に続き新型ウイルスのワクチン開発進捗で世界経済の回復期待が高まり、景気敏感株が多く、世界株でアンダーウエートだった日本株の見直し買いが進んでいる。評価の背景には、欧米と比べて早期の財政出動が期待でき、新型ウイルスの新規感染者数が少ない優位性がある。
一方、国内勢は売り越した。個人投資家は逆張りの投資姿勢で、日経平均が29年ぶりの高値となり利益確定売りに転じた模様。また年金基金を運用する信託銀行は、株価上昇で株式の運用資産に占める割合が配分を上回り、リバランス売りが出ている。
来週以降も投資家動向や資金の動きをウオッチする。
・関連する日本経済新聞の記事
海外勢、日本株を再評価 11月買越額、1.5兆円: 日本経済新聞 (nikkei.com)
なお、下表グラフは現物株の売買状況を表し、横軸が各週を示し、11月第4週目が11月23日の週の売買状況を表す。グラフの見方は、上向きバーが買いをした投資主体、下向きバーが売りをした投資主体で、青色が個人投資家、赤色が証券会社、ピンク色が外国人投資家。