昨日に続き、「無敵のグローバル資産 航空機投資 完全ガイド」で触れられている航空業界、航空機投資について紹介する。
・無敵のグローバル資産 航空機投資 完全ガイド Part1
・無敵のグローバル資産 航空機投資 完全ガイド Part2
・無敵のグローバル資産 航空機投資 完全ガイド Part3
・無敵のグローバル資産 航空機投資 完全ガイド Part4
記事ではそれらの魅力やその前提となる航空機投資のマーケットに関して、気になった点を複数回に分けて紹介する。
1、航空機投資の位置付け
2、航空機投資の魅力
3、航空機投資環境の見通し
4、航空機投資戦略入門
2、航空機投資の魅力
投資アセットとしての魅力が4項目あげられており、その根拠となるデータも本書に収められているので興味ある方がご覧頂きたい。今回は4つ目の特徴を紹介。
(1)公共性の高いグローバル資産ならでは
整備基準や投資スキームや通貨など多くの要素が世界基準をベースにしている。
それらの特徴が投資リターンの性質にも現れ、他のアセットが経済サイクルや株式の影響を受けやすい。
一方、航空機は株式や他の資産アセットとの相関が低く、経済サイクルの影響を受けいにくい性質がある。
その例として、AgFe社が公表する航空機投資指数とMSCI国際株価指数を基準に、他のアセットとの相関性を示したテーブルが本書に出てくる。他のアセットとして、エアライン株式指数、REITs、船舶価格指数、インフラ投資指数が挙がっている。
航空機投資指数は他のアセットと相関係数が0.1~0.3と低いが、MSCI国際株価指数は他のアセットと0.7~0.8と相関が高い。
(2)高い流動性と豊富な情報
自動車と同様に新造から退役まで使い続けることができる稀なアセット。
所有者の変更で航空する地域が変わることも普通に起き、このように航空機は高い流動性を有する資産で、その流動性を支えるのが豊富な情報と法制度の仕組み。
投資判断にあたって、以下のような情報をもとにリターンの予測や整備計画の策定などが行われる。
・航空機専門の価値鑑定会社による価値評価
有名な鑑定会社として、アセンド社、アビタス社、IBA社があるという。
・中古航空機の市場価格
・所有履歴
・詳細な整備記録、運航記録
(3)世界的に整備される担保権の枠組み
航空機の流動性を支える要素として、法制度や規制の枠組みが整備されている。
一般的な投資適格を満たすことができるエアラインは限られる。
例えば、IATAに登録されている280社のエアラインの内、90%以上のエアラインは格付けされていない。
資産投資において、デフォルト時に担保権者が迅速に占有回収し、再利用できるような体制構築がリスク管理で重要。
ところが航空機で問題になるのが、利点でもある世界中に移動して使える動産としての性質。通常、担保権は国別に内容・効力が異なり、私的実行の可否や倒産時の救済について立場が極端に少なくない。これはカントリーリスクとして、懸念すべき事項で、航空機は国境を越えて動くので複雑になる。
このリスクを解消するために提唱されたのが、ケープタウン条約(可動物件の国際担保権に関する条約)で批准国間では国際的な効力を有すると定められている。