米国株式市場でハイテク株を中心に下落が一段を進んでいる。
つい短期的な株価の動きに目が向かいがちだが、中長期目線を意識して、当ブログの新たな試みとして、米国上場企業の経営成績を定点観測したいと思う。
今回はその第一弾として、中国No.2のECサービスを手掛けるJD.com<NASDAQ:JD>を、Motley 記事"JD.com Inc. Earnings: Slow Smartphone Sales in China"から取り上げる。
参考に過去紹介したJD.comの記事を貼る。
・中国株 JD.comに投資すべき5つの理由
https://www.investor-2018.com/entry/2018/01/29/082141
・米国株 あなたならどちらに投資する JD.com vs MercadoLibre
https://www.investor-2018.com/entry/2018/02/22/074414
JD.comの第3四半期決算で、売上はYoYで25%成長したが、いくつかの消費者向け市場で力弱かったので、詳しく決算概要を見ていこう。
まずはキーとなる経営指標の推移。
売上 | $15.3 billion | $12.6 billion | 21% |
純利益 | $419 million | $147 million | 185% |
1株利益(米国会計基準) | $0.3 | $0.1 | 200% |
第3四半期決算での5つのポイント。
・経営陣によるこの期間の売上予想は$16.1 billionだったが、結果はガイダンスで提示されていた下限の$15.3 billionだった。
・中国の消費者は家電やハイエンドのスマホへの購買意欲が弱まっており、JD.comの売上成長にブレーキをかけた。
・会社は、過去の4四半期で150の倉庫を建設し、その内30の倉庫は第3四半期に建設された。現在出荷可能な拠点は、550箇所以上に広がっている。
・JD.comは20万以上のオンライン業者にサービスを提供しており、年初の16万から増加している。
・売上はJD.comの長期的なFarFetchへの投資により加速した。FarFetch<NYSE:FTCH>はイギリスの高級小売りであり、JD.comは2017年夏から14%の株式保有している。
経営陣のコメント
・JD.comは第3四半期に$502 millionをR&D活動に費やしており、売上の3.3%に相当し、前年同期間の$364 million売上の2.1%から増加した。
・CFOのSidney Huang氏は、この強気のR&D活動を自賛しつつ、費用はスローダウンすると述べた。R&D活動は次の成長フェーズにいくために必須で、軸となるリーダーや多様なチームが活動しているが、R&D比率は安定化に向かうと述べた。
第4四半期の見通し
・JD.comn経営陣は、売上がYoYで20%程度増加し、$19.1 billionで着地すると見ている。
・大きな買い物であるスマホや家電への消費者心理は弱く、売上は第4四半期に持ち越されると考えている。第3四半期の売上成長率は21%と会社の歴史で最も低かった。
2016年第3四半期以降で売上成長率が30%を下回ったことはなかった。